2サイクルエンジン ~補足編③~

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2サイクルエンジン ~補足編③~

2018年05月23日

前回、予告した通り、ちょいとマニアックな話になりますが、もう少しお付き合いして下さい。

2サイクルエンジンに関してはここまでご説明した通り、チャンバーが排気側のバルブとしての役割を大いに担っていますが、特にオートバイにおいてはある程度の排気量や出力を有している場合は、どうしてもそれだけではエンジン回転数の全域で安定した出力を得られません。
つまり…『乗り難くなってしまう ⇒ 出力を全域で使用できず無駄にしている = 実用性に欠ける』という発想から、チャンバーのバルブ作用をより一層高めるように、排気ポートに『排気デバイス』つまり『排気バルブ』を装備して、少しでも全域に渡って均一に出力を得て乗り易さと扱い易さを重視した構造になっています。

排気デバイスの基本的な作用や理論はどのメーカーも同じですが、各メーカーがしのぎを削って開発した結果、内部構造や仕組みは三者三様で良く考えて作られており、たいへん効果も高く、2サイクルエンジンのバイクには必須の装備となっていました。
理論的には至って簡単な物で、高回転ではバルブが全開となり排気ガスを抵抗なくドバドバ抜いて、低・中回転域ではそれなりの排気干渉が発生していた方が出力を得られる事から、排気干渉をある程度強めるために、バルブが閉じて排気ポートの断面積を小さくする。
つまりバルブが閉じる事により排気ガスが抜けて行くトンネルを細くする事で、排気ガスの抜けを悪くして、敢えて排気干渉を強くするという作用になります。

【引用】http://www.2stroke.jp/img/aetc.jpg

このバルブの開閉はエンジン回転数等の様々なデータを基にプログラムされたコンピューターで制御され、専用の作動ユニットへ電気信号を送り、作動ユニットのモーターからワイヤーを介してバルブを開閉しています。
・どのタイミングでどの程度バルブが開くのか?
・開閉には段階数を設定しているのか?
等の詳細やバルブの形状は、排気デバイスの構造と一緒で各メーカーによって異なりますので、これらの構造や制御方式が各メーカーのリリースする各車の乗り味として大きく影響を及ぼしています。
これにより年々2サイクルエンジンのオートバイはタウンユースにおいても実用性を十分兼ね備えて乗り易くなり、市販車やレースの世界においても様々な名車を歴史の1ページに残してきました。

全8回にわたった「2サイクルエンジンと4サイクルエンジン」に続いて、2サイクルエンジンの補足編をお届けしましたが、なんとなくお分かりいただけましたか?
性能が今の時代とは逆行していますが、ほんの十数年前までは世界の大舞台でも活躍し、一般にも多くの人に愛されて、多くのライダーの青春の1ページに足跡としてその存在を深く残している2サイクルエンジン。
現代では陽の目を見ることもなく、その独特なサウンドを奏でながら峠やサーキットを走っている姿を見る事もなくなりました。
過去に各メーカーがその魅力に可能性を抱き、開発にしのぎを削って取り組んだように、もしかしたら今後また改めて見つめ直す時が来たとしたら、新たな技術を導入して燃費や環境問題をクリアし、新しく生まれ変わった2サイクルエンジンが世に普及するかもしれませんね。
そうなった時には、これからの未来に誕生するであろう新世代のライダー達がその魅力に取りつかれ、彼らの青春時代にも大きな足跡を残すという日が再び到来するのでしょうね。

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