2サイクルエンジンと4サイクルエンジン⑥ ~ちょっと脱線バイクレース編~

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2サイクルエンジンと4サイクルエンジン⑥ ~ちょっと脱線バイクレース編~

2018年03月02日

今回は少し脱線して、2サイクルエンジンを搭載したバイクのレースのお話を…
車好きの作者のお話に少しお付き合いください!

バイクでオフロード(未舗装のコース)を走って速さを競う「モトクロス」では、コーナーの進入時にクラッチを切らずにシフトダウン(ギアを下げる操作)して唐突に発生する強烈なエンジンブレーキにより後ろのタイヤを一瞬ロックさせ、それをきっかけにして後ろのタイヤをアウト側(コーナーの外側)へ一気に降り出して、瞬間的に向きを変えて旋回するライダーが多くいました。

その時にエンジンは完全にオーバーレブの状態になりますが、2サイクルエンジンは、メカニカルトラブルの発生要因が少ないため、このような思い切った乗り方も可能というわけです。

オーバーレブをあまり気にしない点で言えば、二輪のロードレースの世界グランプリでは、1980年代半ばにGP500・250の両クラスにWエントリーして世界チャンピオンに輝き、前人未到のWタイトルを獲得し、世界中を圧巻したホンダのファクトリーライダーの「フレディ・スペンサー」がレッドゾーンを遥かに上回り、タコメーターを振り切る領域の「ブラックゾーン」を使った乗り方をしていたという一説がありますが、これもメカニカルトラブルの懸念が少ない2サイクルエンジンだからこそ成せる技です。

【引用】http://beachhouse.exblog.jp/16105962/

参考までに…ブラックゾーンを使う乗り方とは?
通常はエンジンの出力が最も高い領域である「パワーバンド」にエンジンの回転を維持し、それ以上エンジンの回転を上げたとしてもレッドゾーン付近までしかエンジン回転を上げない乗り方(それ以上エンジンの回転数を上げても、エンジンが回転するだけでパワーは得られないため、無駄にエンジンを回すことなくレッドゾーンを意識して、エンジンの回転を常にパワーバンド内に保って、効率よくエンジンパワーを有効に常時使用する乗り方)が、バイクや車に限らずオーソドックスな基本の乗り方となっています。
当然コーナーの旋回中もパワーバンドの領域を維持して走行するのが基本となり、コーナーから脱出して加速する際には「シフトアップ(ギアを上げる操作)」を行うわけですが、この際にどうしても回転がある程度下がってしまいます。

2サイクルエンジンは極端にパワーバンドが狭いという特性上、シフトアップによりエンジンの回転数がパワーバンド以下の回転数に下がってしまうと、100%の出力を発揮させて加速したいのに、パワーバンドにエンジンの回転が達するほんのわずかな時間がどうしてもロスになってしまいます。
これらの現象を解消するためにコーナーの進入から旋回にかけては、パワーバンドより更に高い回転域を維持した状態で走行し、コーナー脱出の際にシフトアップしたことで回転が下がっても、それはパワーバンドの中でも一番出力を発生する回転付近となるため、一気に強烈な加速力を得ることができるという、当時では前代未聞の走り方だったようです。

【引用】http://yamaha-sdr.com/trouble/tako/tako.html

つまり、コーナーからの脱出スピードがおのずと速くなり、コーナーからコーナーまでの速度のつながりで圧倒的な速さを得られるというのがこの走法の理論になります。

しかしこの走法は、基本設計で圧倒的な高回転を意識したよほどのキャパシティがあるエンジンだからこそ成せることであり、いくら2サイクルエンジンのメカニカルトラブルの懸念要素が少ないとはいえ、エンジン自体にかなり無理をさせるため、あまり気持ち良いものではない上、コーナーリングの最中には膝を地面に擦るほどマシンを倒している状態から立ち上がりにかけてマシンを起こそうとしている状況でのシフトアップとなるため、一気に強烈なパワーが発生し、タイヤが空転状態になりスライドする(ドリフト状態)になってしまい、横方向へスライドするマシンをコントロールしながら前方向への加速に結び付けるという抜群のスライドコントロール感覚といったハンパなく特殊で高度なスキルを必要とします。この走法はあまり普及しなかったでしょうね…

話を車に戻して…
2サイクルエンジンはバイクに限らず、昭和40年代頃には大半の軽自動車に360ccの2サイクルエンジンが搭載されていた背景から、圧倒的にパワーの面で優れ、軽くてコンパクトでメンテナンスも容易という2サイクルエンジンの利点や優位性が当時は重視されていたことが分かります。

【引用】http://wald-licht.com/~oldcar/58_s_subaru360_01.html

少し話がそれてしまいましたが、2サイクルエンジンのパワー面が優れていることをよく理解していただけたのではないかと思います。
次回は話を戻して、2サイクルエンジンのデメリットについて解説していきます。

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